(第32話) ものみなすべて無常なり
この無常と言う言葉は、良く使われたり又耳にしますので、御存知の方も多いと思います。私達は、『無常』の言葉を考える時に、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」(平家物語)の文句が頭を過ぎります。
諸行とは、ものみなすべてを指し、仏教語では『有為』と言います。
『有為』とは、縁と原因よってつく られた全てのものを意味します。
無常とは不変では無く、常に移り変わる全ての事象を表現した言葉である。
私達は、この無常感を悲哀感と同意語としてとらえてはいないだろうか。
減び行く さまだけが無常ではなく、育ち行く過程もまた無常だと思いませんか。例えば、桜の花が散る様は無常ではある。しかし、咲く までも1年間も過程も、移り変わりの無常ではないでしょうか。私達が生きていく時にこの無常を生かせるとしたら、日々を大切に感謝の心で『精一杯生きる』事が、『無常』を理解した生き方と言えるのです。