「古い歴史に誇り」「現状が分かった」

    県社会福祉総合センター大ホール前では、富岡製糸場世界遺産伝道師協会の伝道師十人が、絹産業遺産群についてパネルを使った説明や資料を配布して活動をPRした。伝道師の梨木多恵子さん(54)=前橋市元総社町=は、パネルディスカッションで繭がつないだ小学生との交流の逸話に共鳴。「自分たちも学校キャラバンをやっている。地域は違っても、蚕や繭を見た子供たちの感動は同じだと思った」と話した。
 安中市で養蚕を続ける奥原征夫さん(67)=写真=、恵子さん(61)夫妻も来場。征夫さんは「蚕が好きなんだいね。養蚕は生きがいだし、体を動かすことは健康にもつながる」と強調。恵子さんも「皇后さまも養蚕をなさっているという話を聞いて、自分たちもまだまだ頑張らないとと思った」と決意を新たにしていた。
 かつて養蚕に携わっていた人も会場を訪れた。井田和子さん(69)=前橋市亀里町=は「記念講演を聞いて、蚕の歴史の古さを知った。そういう養蚕が行われていた群馬に住んでいることを誇りに思う」と感慨深げ。子供のころ養蚕の手伝いをしていたという佐藤由枝さん(66)=同市箱田町=は「蚕にかかわった人の連載などに興味を持ったので、新聞を読んでみようと思った」と語った。
 絹産業遺産群について知りたくて参加した赤岡増江さん(73)=同=は「私たちの世代は、絹の中で育ったようなもの。養蚕の現状について分かり、いろいろ勉強になった」。記念講演が興味深かったという石川ひとみさん(40)=高崎市浜尻町=は「養蚕や織物を、これまでとは違う視点でみるきっかけになった」と話した。


●カラー口絵には、写真家・田中弘子さんの「繭の輝き」(林忠彦賞受賞作品)から9点を掲載。
●詩人・房内はるみさんによる、繭の美しさや絹の思いが凝縮された詩「座繰りをまわす女」掲載
・4/6版234ページ・口絵カラー12ページ
・定価:1.260円
第1巻「繭の記憶」