総務省消防庁は、林野火災の恐れが高い乾燥時に、自治体が住民に対し火の取り扱いに注意を促す「林野火災注意報(仮称)」を新設する方針を固めた。火の取り扱いへの注意を早めに呼びかけられるようにするのが目的。今夏中にも発令基準をまとめ、自治体に通知する。政府関係者が16日、明らかにした。
自治体は現在、乾燥、強風時にたき火などを禁じる「火災警報」を発令できるが、違反した住民への罰則規定もあるためハードルが高く、発令件数は少ない。岩手県大船渡市などで今年相次いだ大規模な林野火災でも発令されず、消防庁は警報の前段階として、罰則のない注意報を設ける必要があると判断した。
基準は「前日までの3日間の降水量が1ミリ以下」であることに加え、「前日までの30日間の降水量が30ミリ以下の場合」か「気象庁が乾燥注意報を発表した場合」とする方向で検討している。
消防庁の基準を基に、各自治体が条例で、地域の特性を考慮して具体的な発令条件などを定めるため、実際の運用は秋以降となる見通しだ。
白煙が上がる岩手県大船渡市の山林火災現場=2月28日