60・意外だった和室の盲点 掲載日2005/9/3
和室で転ばないように柱に手を付く母
 8月上旬、73歳の母が私に「ほら」と顔を指差した。1.5センチほどのあざのようなものがある。母は「靴下を履いて和室を歩いたら、滑って転んだ。畳は怖いよ」と訴えた。まさか畳が危ないとは、想像もしていなかったので驚いてしまった。
  母は足が悪い。現在は介助しないと、数メートルも歩くと右側に転んでしまう。和室は、そんな母のために1階に設けた部屋なのに、母は寝る時以外、ほとんど在室していなかった。母にとって、和室は居心地の悪い部屋だったのだ。
  わが家の家づくりは、妻が、私の母との同居を申し出てくれたことから始まった。必然的に家のコンセプトの一つは、生活上で障害のない「バリアフリー」となった。早く家を建てたかったが、工務店選びなどに手間取り、完成までに5年もかかった。この間に母の歩ける距離も短くなっていた。
  プランは、足の悪い人がどうすれば家の中を容易に移動できるかを、頭の中でイメージトレーニングしながら検討。手すりは玄関の外側と内側、トイレの入り口と内部、階段に付けた。床の段差はなくし、和室隣にトイレ、洗面台を設置。いろいろ制約がある中で、合理的な対策ができたと思っていた。
  「年寄り=和室」という先入観もあり、「実家と同じ和室で落ち着くだろう」と安心していた。
  ところが、生活してみて、和室の盲点に気付いた。和室中央部に母が立った姿勢でつかまるところがなく、転んでしまうのだ。ベッド脇のカーテンは、母が転びそうになり、手すり替わりにつかまるので、何度も外してしまった。さらに畳が滑ることも判明。立ったり座ったりする動作も、母には大変なようだ。
  現在は、和室の中で母が転ばない方法を思案中だが、素人ではなかなか名案が浮かばない。広くアドバイスを求めています。

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