50・「実は塀がはみ出して…」 掲載日2005/6/25
わが家の土地に少しはみ出したブロック塀
 「わが家の土地の境界は、どうなっているんですか?」。2001年10月に契約した土地売買で1カ月後の決済日が迫り、不動産業者と決済日時を電話で決めた後、私は質問した。契約した土地の現地確認や境界の説明などを受けていなかったからだ。
  不動産業者は「実は隣家のブロック塀が2、3センチはみ出してまして…」と答えた。
  私は驚いた。境界は土地取引で重要な事柄だと思う。なぜ早く教えてくれなかったのか。これまでも不動産業者の対応に疑問をもっていた私は、さらに不信感を抱いた。
  予定した決済日は現地で境界確認を行った。測量図もこのとき、初めて示された。私は不動産業者の対応に納得できなかったので、決済を延ばして協議をしていた。そのさなかの02年1月、連載47回で紹介した内容証明郵便が送られてきた。
  トラブルのきっかけは塀だったが、塀は両家の境界になるのだから、はみ出し自体を問題とは思わない。私が質問しなければ、塀のことは明かされず、境界確認もないまま、決済が行われていたかもしれないことが問題なのだと思う。
  内容証明に対し、素人では対処できず、前橋市の弁護士に相談。訴訟も覚悟したが、弁護士は「塀の問題で隣家を巻き込んでいる。訴訟になればうそのつきあい。その土地に住むつもりなら、訴訟は勧めない」とアドバイスした。
  最終的に弁護士に間に入ってもらい、02年4月に決済。希望した土地は手に入ったが、とても後味の悪い思い出となった。弁護士費用は「着手金」として20万円かかった。
  今になって振り返れば、契約前に重要事項説明書と契約書の文面を不動産業者から取り寄せて、その内容を十分に確認しておけばよかった。口頭の約束は、文面にしてもらえば、もめることもなかった。
  私がマイホーム取得に当たり、安易に物事を考え、不動産取引に関して必要な勉強を怠ったことを反省している。

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