48・面積めぐりトラブル 掲載日2005/6/11
 不動産業者「そんなこと言ったでしょうか?」
  私「はっきり言ったじゃないですか!」
  2001年10月に土地売買の契約を交わしてから半月後、不動産業者の事務所で言い合いになった。
  前橋市に求めた土地には木造家屋があり、契約後に南北3区画に整地し、正確に測量することになっていた。最も南側の区画(縦横約14メートルのほぼ正方形)を購入した。
  契約の1時間前、不動産業者(宅地建物取引主任者)が法律に基づき、物件取引で重要なことを書面で示して、内容を説明する重要事項説明が行われた。私は、測量の結果、土地面積が減少する心配があったので「面積が減らないようにしてほしい」と要望。不動産業者は「もし減るような場合は、北側の区画で調整します」と約束した。
  その後、契約した土地が東西方向で約10センチ短くなったと連絡を受けた。私が「約束通り、北側区画で調整を」と申し出ると、不動産業者は冒頭のように言った。そして「もし、そう言ったとしたら私の説明が足らなかった」と続けた。
  私はこんな論理が通用するなら、口頭でどんな約束をしても後でうやむやにできるし、社会のルールは成り立たたなくなるのではないかと疑問を感じた。
  「約束を守ってほしい」と何度もお願いしたが、不動産業者は応じてくれない。仕方なく「土地の減少分を北側区画との面積割合で配分してほしい」と妥協すると、不動産業者はすかさず事前に計算で導いた結果を書いた用紙を見せた。
  私はこの瞬間、「しまった」と思ったが、自分が言った手前、受け入れるしかなかった。当初の約束通りなら北側境界を約10センチ後退させるところだが、結局それが2センチになってしまった。
  この一件で、不動産業者への不信感が一気に芽生えた。そうなってから振り返ると、契約の前後から、その前兆はあった。

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