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届いた内容証明郵便 |
「1月18日までに土地残金(1350万円)を払わないと、手付金を没収し、契約を解除する」。2002年1月9日、わが家のアパートに、土地の売り主名でこんな内容証明郵便が届いた。前年10月に契約した土地売買(約58坪・1650万円)で、不動産業者とトラブルになり、契約時に手付金300万円を払った後、決済を延ばして協議していた。
その残金を支払えという突然の通告に、私は「土地はどうなるのか」と不安になる一方、誠実に協議をしようとしない不動産業者への不信感が一層高まった。
関係機関に相談したところ、県宅建業係(当時)の担当者は「そんな業者は県内にはいないはずです」、不動産業者が加盟する業界団体の相談員は「それが事実なら、本当に申し訳ない」とそれぞれ話した。どうやら、私たちのかかわった不動産業者は、監督官庁の県や所属団体のルールに従わない業者だった。
県などが問題にしたのは仲介手数料。私は不動産業者から「契約時に手数料58万2750円が必要」と言われ、指示通り、手数料全額を一括して契約時に支払った。これが不動産業界では問題だったらしい。
県担当者は「仲介手数料は成功報酬的な要素が強いので、契約時半金、決済時半金が原則。県もしっかり指導している」と話し、県監修の小冊子『不動産取引の手引き』(不動産適正取引推進機構発行)を見せてくれた。冊子には、担当者が説明した内容が注意項目として明記されていた。
業界団体の相談員は「群馬ではあまりないが、東京や埼玉などでは先に手数料を取って逃げてしまう業者がいる。手数料の分割受領は業界全体で守るようにしている」と説明した。
これに対し、当の不動産業者は「手数料を契約時に全額お支払いいただくのが本来と考えている。なぜ半金ずつなのか分からない」と答えた。 |