43・喜びの中に寂しさも 掲載日2005/5/7
完成したわが家
 3月中旬にわが家の引き渡しが行われた。夢のマイホームを持とうと、夫婦でいろいろ苦労しながら、2000年から5年をかけて、やっと目的地にたどり着いた。
  うれしいはずなのに、「これで家づくりが終わるのか」と思うと、なぜか寂しい気持ちになった。もう家のことで工務店と議論を交わすこともないだろう。
  妻の心境も複雑だった。長い付き合いとなった社長をはじめ、建築士のIさんや現場監督のSさんが役割を終えたことに気が付き、寂しさを感じたという。
  引き渡しは、新居で午前中に行われた。工務店側から換気システム、ユニットバスなどの使い方や注意事項について説明を受けた。この後、各設備の取り扱い説明書などが入った分厚いファイルと家のかぎを受け取り、引き渡し書にサイン。これで正式にわが家が二人のものになった。
  最後となるので、私は総括的な意味を込めて、工務店に「わが家を『○○の家』と表現するとしたら?」と質問した。社長は「風駆け抜ける家」、建築士は「シンプルで無駄のない家」、現場監督は「環境にやさしい家」とそれぞれ特徴を挙げてくれた。
  私は「太陽と緑の家」と名付けた。県産材を中心に構造材、内装、外壁と木を多く使った。小さな庭だがバランスのよい植栽ができ、ヤマボウシ、ハクウンボクなどの木々に新緑が芽吹く。木や植物は緑の葉に太陽光を浴びて、水と二酸化炭素を吸って成長する。太陽光は、わが家では屋根に置いた太陽電池で発電もしてくれる。
  妻は「生活を問われる家」と答えた。庭木の手入れ、無垢(むく)材の床や換気フィルターの掃除など、これから家を良い状態で維持していく上での責任感と覚悟を強く感じているようだ。
  「これから本当のお付き合いが始まります」。社長は最後にこうあいさつした。建物の家づくりは終わったが、今後は生活をしていく中での家づくりが始まるのだ。

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