24・「工事は2階から先に」 掲載日2004/12/19
上棟から2カ月で設置された階段
 上棟後、毎週土曜日は夫婦で建築現場に出掛ける楽しい日となっている。大工をはじめ職人さんたちは日曜日が休みのため、建築作業をじっくり見学できるのは土曜日しかない。1週間で家がどれだけできているのか、ワクワク、ドキドキしながら現場へ向かう。
  最初のころは見学に行っても、大工のTさん親子は2階にいて、何の作業をしているのか分からなかった。現場はまだ骨組み状態。素人が勝手に立ち入ったり、はしごで2階に行っていいものか判断できず、家の外でうろうろしていた。声をかけるタイミングも難しかった。
  何度か行ったが、いつも2階で作業をしている。自分の経験から「仕事中に見られると気が散るので、あえて2階で作業しているのかな?」と考えたりもした。
  見学に行った時は、午前10時や午後3時の休憩時に、缶コーヒーを差し入れている。だんだん打ち解けてきたので、休憩時に思い切って疑問をぶつけてみた。Tさんは「工事は2階から先にするんだよ。1階を先にすると、2階の作業中に道具やごみが落ちて、1階部分が傷付いたり、汚れたりするからね」とニッコリ。
  もっともな説明で、私は、どんな作業も合理的な理由があるんだな、と感心した。
  見学も慣れてくると、作業のじゃまにならずに行動できるようになった(と思う)。毎回、Tさんにあいさつして現場に入った後、まず大工の作業をじっくり観察。はしごで2階に行ったり、付けたばかりの窓を開けたり、ベランダから外を眺めたり、楽しい時間が流れる。だんだん形ができてくると、夫婦で「ここが良かった、悪かった」などと会話も弾む。
  上棟から2カ月たった12月最初の土曜日。この日も夫婦で現場に行くと、階段ができていて、「ワーッ!」と思わず2人の声がそろった。それまで1階、2階の行き来が面倒だった分、階段で2つのフロアがつながった感激は大きかった。

前ページへ 次ページへ