23・構造材の85%を県産材で 掲載日2004/12/12
建築中に行われた県産材の検査=11月2日
 「木造の家には同じ気候風土で育った地元の木が最も適している」。地元の木材をPRするこの言葉が気に入って、わが家を県産材住宅にした。柱や梁など構造材の約85%に県産のスギやカラマツを使っている。
  私と妻は2000年の結婚後、「群馬の山歩き130選」(上毛新聞社発行)掲載の全山踏破を目標に掲げて登山を始めた。これまでに2人で33山に登ったが、そこで触れる群馬の自然、新緑や紅葉で心をなごませてくれる木々に愛着があった。
  住宅メーカーではなく、工務店で家を建てると決めた時、私は「県産材を使った家にしたい」と妻に提案した。これには妻も喜んで賛同してくれた。2人とも群馬で生まれ、県産材と同じ空気と水で育った。これからも群馬で暮らす2人にとって、県産材住宅をついのすみかに選んだことに、意味を見い出した。
  県産材は施工業者探しのポイントにもなった。国内で使用される木材の8割が外国産という現状の中で、国産、特に県産材の使用に積極的な工務店は、木への思い入れがあり、木を大切に扱う業者ではないかと考えたからだ。
  県産材の利用は、山に手を入れて森が荒れるのを防ぐ環境問題としての意義もあり、県は利子補給制度や「杉100本」家づくり推進事業などを展開している。
  ただ品質について、いくつかの工務店で「県産材は品質が悪い」と指摘されることもあった。これに対して、県林業振興課は「適切な森林管理を行っている有名産地の木材には劣るものの、全国レベルと同等の品質がある」という見解を示す。つまり、国産材の中で良いとは言えないが、悪くもないということらしい。
  そこで県は、柱の太さや含水率など一定の品質を定めた独自の「ぐんま優良木材」制度を設け、助成の条件にしている。
  わが家は、県の推進事業に申請し、89本のスギ柱を無料でもらった。見積もりによると、スギ柱1本の価格は2285円(税別)で、20万円余りの助成を受けた計算になる。

前ページへ 次ページへ