21・腕のいい大工に巡り合う 掲載日2004/11/28
手刻みで木材を加工するTさん
 「腕のいい大工さんを付けてもらえよ」―。家を建てた経験を持つ先輩に家づくりについて聞くと、決まって返ってきたのがこの助言だった。
  確かに大工の腕の良し悪しは、家の出来を決める大きな要因。でも、どうやったら腕のいい大工を見つけれられるのか。
  工務店側が「うちの大工は腕が悪い」などと言うはずがない。どんな大工がいるのかも知らないし、その腕前も分からない。現実は、工務店に任せるしかないのだ。
  それでも工務店に思い切って言ってみた。「腕のいい大工さんを付けてください」。社長は「うちには腕のいい大工しかいませんよ」。予想した通りの返答だった。
  木材加工は、大工が柱や梁の継ぎ手や仕口を加工する「手刻み」にしてもらった。工務店は作業を早く進めるため、コンピューター制御の機械で加工する「プレカット」を提案してきたが、手刻みにこだわった。
  わが家の大工さんは、高崎市のTさんに決まった。親子2人で担当してくれることになった。2人は別の家を受け持つ予定だったが、わが家が手刻みになったので、急きょ変更になったという。
  Tさんは16歳で大工になり、この道40年以上の大ベテラン。そこで腕のいい大工について尋ねると、「腕のいい人は速くて丁寧。先を読みながら段取りよく作業できる人は大概腕がいいよ」と教えてくれた。
  それから2人の仕事ぶりを見学させてもらっているが、作業がリズミカルで速いのが、素人目にも分かる。工務店の社長からTさんに相談の電話が入ることもある。それだけ信頼されているということも分かった。
  プレカットから手刻みに変更してもらったことで、結果的にTさん親子に家を造ってもらえることになった。“腕のいい大工さん”に巡り合えたことに感謝している。

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