18・業者の熱意も重要条件 掲載日2004/11/7
造り手の真剣な姿勢が「いい家」の条件。納得できる適正価格になる
 連載の11回で「住宅の価格」について読者の意見や体験談を募集したところ、いろいろな意見を寄せてもらった。私だけでなく、多くの人が家づくりで悩んだり、喜んだりしていることが分かった。
  「毎回まるで私たちに起こった出来事が連載されているよう。『幻の大幅値引きプラン』も同様です」とお便りをくれたのは、嬬恋村のHさん。
  Hさんは2年前に家づくりを始め、ある住宅会社を選んだ。予算を伝えていたのに最初のプランは1000万円近く予算オーバー。間取りや規模を調整しても400万円多かった。「高すぎるので他社に代える」と伝えたところ、超過分の400万円を値引きすると言ってきた、という。
  本当に私と同じような体験で、Hさんもいろいろ悩んだのだろうと思う。Hさんはその後、「他人の家を自分の家のように考える熱心な」建築家に出会い、満足する家を手に入れた。ちなみに寒冷地で設備面も充実させた結果、坪単価は67万円だったという。
  群馬郡のAさんは「坪34.8万円で2階建ての希望通りの家が建ちました」とお便りをくれた。最初は「予算的に無理」と断る住宅会社もあったが、業者を探し、榛東村の工務店に依頼して00年に新築した。
  Aさんは「大工さんをはじめ皆さんが親切で、こんなに楽しく家が建てられるのかと毎日が幸せだった。今でもお中元、お歳暮は欠かさずに届けてくれるし、社長さんも年に何回か顔を出してくれるので、いつも安心です」と喜んでいる。
  HさんとAさんの家の坪単価は30万円以上も差があるが、最終的には“いい家”を手に入れた。2人の手紙を読んで感じたのは、まず第一に「施主のために」という造り手(業者)の気持ちや姿勢が「いい家」の条件になっているということだ。
  そして家の価格は、単に高い安いではなく、こうした業者の姿勢なども含めて、施主が家づくりに納得できた時、その人にとっての適正価格になるのだろうと考えた。 

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