13・不可解な設備の価格 「表示」と「実勢」の差大きく 掲載日2004/10/03
システムキッチンなどを展示するショールーム=高崎市
 県内では、高崎市にキッチンやバスなど住宅設備機器メーカーのショールームが多くあり、何度も足を運んだ。新築の家で料理や入浴するシーンを思い浮かべながら、夫婦で「どの商品にしようか」と選ぶ作業は、とても楽しかった。ところが、ここでも“分からない価格”に悩まされた。
 最初は展示商品の価格を見て「こんなに高いのか」と驚いた。すぐ後で知ったが、ショールームの商品はカタログ価格で表示されていて、実際に購入する時は、かなり値引きされるという。
 富士見村で昨年6月に新築した友人は、I社のキッチンを購入。「最新型で割引率は良くなかった」そうだが、それでも41%引きだったという。
 ショールームの係員に実勢価格を聞いたが、どのメーカーも「価格は工務店によって違うので、業者に見積もりを出してもらってください」と話し、およその目安も教えてくれない。
 建築業者が決まっている人は、希望商品の見積もり(カタログ価格)をショールームで作成してもらい、それを業者に渡せば、実際の価格を知ることができる。しかし、決まってない人は、好みの商品を見つけても、価格が分からず商品の比較ができないのだ。
 割引率が大きい価格設定は、業者側に有利な仕組みだと思う。消費者に提示する価格を調整して、利益を乗せやすいからだ。「こんなに安くしました」とアピールして売りやすくもなる。
 「これも価格の分からない住宅業界の一面か」と嘆いていたところ、ちょっと様子の違うメーカーがあった。ショールームに並ぶ商品の価格設定が、他社に比べてかなり安い。
 ある建築業者がこのメーカーについて「表示価格を安くしている分、割引率が低いんです」と教えてくれた。つまり、表示価格と実勢価格の差が小さいということだ。
 私と妻は、同メーカーが他社に比べて誠実な価格設定をしていると感じた。商品も気に入ったので、購入することにした。工務店の見積もりによると、わが家に入るキッチンとバスの割引率はともに28%だった。  

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