10・幻の大幅値引きプラン 思案の末、慎重な決め方選択 掲載日2004/09/12
幻となった住宅のイメージ図
 実は2年前にある住宅メーカーと正式な建築工事の請負契約を交わした。契約時の会社側の姿勢が納得できず、すぐに解約したので“幻の契約”となった。
  同社の事務所を初めて訪れたのは2002年7月。最初の見積もりは太陽光発電も入れると3000万円を超えていた。当時は太陽光発電断念も視野に入れ、間取りや価格調整のため、ほぼ毎週、打ち合わせを行った。そして2カ月後の9月29日、交渉は急展開する。
  設計担当者から広さや建材の変更などで2230万円(消費税別)まで金額を下げたプランが提案された。さらに営業担当者が「別のお客さまにキャンセルが出て、値引き用の支援金が余った。あすまでに契約してくれれば、この家を2000万円にします」と切り出してきた。
  突然、230万円も安くするという申し出に、夫婦ともびっくりした。事情を聞くと「会社の中間期決算に間に合うよう9月末までに契約高の実績を上げたい」というのだ。以前、ある人から「決算期前に契約すると値引きが大きい」と聞いたことがあったが、その言葉は本当だった。
  しかし、まだ新しいプランを全く検討していない段階だ。果たしてそんなふうに決めていいものか。ちゅうちょしていると、両担当者の上司2人も現われ、計4人に囲まれた。そして「お願いします」「宝くじに当たったようなもの。こんなチャンスは二度とないですよ」などと“熱心”な勧誘を受けた。とても断れる雰囲気ではなかった。
  そこで、解約した場合は契約時に払い込む50万円を返金してもらう内容で一筆書いてもらい、翌9月30日に契約した。
  その後あらためて冷静になって考えた。「一世一代の買い物をこんな安易な形で決めていいのだろうか」―。そう自問自答し、夫婦で相談した結果、「やはり慎重に考えよう」と解約することにした。契約書に張った印紙代の1万5000円が持ち出しとなった。
  設計担当者は好感の持てる人で、間取りや外観のイメージも気に入っていた。こんな出来事がなく、もう少し時間をかけて進めてくれていたら、現在は同社の建てた家に住んでいたかもしれない。

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