8・安くて質の良いものも 建築家に適切な助言期待 掲載日2004/08/29
安い坪単価を明記してPRする住宅会社もある(写真と記事は関係ありません)
  連載を始めて以来、読者からいろいろな意見を寄せていただいた。個人の家づくりについて、素人が手探り状態で書いているので、読者にどう思われているか心配だった。建築関係の方からも参考になる情報や貴重な指摘があり、とてもありがたく思っている。
  意見を読ませていただき、私の説明不足から真意が伝わらなかったと思われる部分があることが分かったので、今回、あらためて説明させていただきたい。
  第3回で「安くていい家なんてない。坪40万円の家は40万円の家、坪60万円の家は60万円の家」という建築家の言葉に失望した、と書いた。これに対し、建築関係と思われる草津町の読者の方から「私も建築家と同じように答える」という意見をいただいた。
  私も基本的には「坪40万円の家は40万円の家」であるべきだと思う。しかし実際は、同じ坪40万円の家でも、企業努力の有無などによってその内容は各業者で異なり、価格と内容にあまりにばらつきが大きかった。そんな現実に直面し、住宅の価格とはいったい何なのかと悩んでいた。
  さらに建築家に対する私のイメージは、施主側に立って、施主の希望や夢を住宅という形に変えてくれる職業―というものだった。ローコストや狭小住宅などの厳しい条件を乗り越えるため、施主と一緒になって努力する建築家の姿もよくテレビ番組などで見た。
  そんなこともあって、内容のばらつきに対する適切な助言を建築家に期待していた。ところが、「安くていい家なんてない」と一言で片付けられてしまったため、大きなショックを受け、「失望した」と書いたのだった。
  見積もりに関しては、一級建築士のTさんから電子メールで投稿をいただいた。Tさんは「日本の住宅は、営業マンの報酬、宣伝広告費、クレーム対策費、利益などが見積もり金額の2割を占める。やり方次第で安くて質の良いものができる」と教えてくれた。
  この連載は、自分のことを題材にしているため、どうしても独り善がりに陥りがちだ。これからも読者の方々の意見に耳を傾け、多くの人から話を聞く努力をしていきたい。いただいた意見は今後の連載でも反映していきたいと思う。

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