5・「材工分離」の見積もり 工事費の透明度を確保 掲載日2004/08/08
大工手間などの工賃も明記してもらったわが家の見積もり
  「住宅の適正価格は分からないが、納得のいく契約をしたい」。そう考えて、契約した工務店にお願いしたのが「材工分離」の見積もり作成だ。
  よくある「工事一式でいくら」という、中身の分からない見積もりではなく、工事に使う材料の値段と職人の工賃を分けて提示してもらえれば、透明度が確保できると考えた。ただ、多くの業者と話した経験から、工務店に拒否されるのではないかという不安もあった。4年も迷走した末に決めた工務店だったので、関係がこじれて、業者選びが振り出しに戻ることは避けたかった。
  そこで担当建築士に、恐る恐る話を切り出してみた。すると「見積もりは積算して出しているので、(材工分離で)出せないことはないと思う」と意外とすんなり受け入れてもらえた。
  後で工務店の社長が「材工分離は何のために必要なのですか」とけげんな顔で問い掛けてきたが、私は「自分の家がどんな価格でできるのか知りたい」と訴えた。
  最終的に提示された見積もりでは、工事、材料を細かく挙げて金額を記載してくれた。しかし、工賃は全部の工事で示してもらえず、給排水衛生工事は一式見積もりとなり、やや不満が残った。
  同工事の一式提示について、社長は「専門業者に細かく出させると高くなるから、『この値段でやってくれ』と依頼している」と理由を説明した。疑問はあるものの、施主側から初めて要求されたと思われる「材工分離」に対し、ある程度応えてくれたことをありがたく思った。
  示された工賃のうち、木工事の大工手間は1平方メートル当たり2万2300円。これを3・3平方メートルで 「4人工(にんく)」 として、日額賃金に換算すると約1万8400円になる。1人工は労働者1人が1日にする作業量を表す。
  ちなみに厚生労働省の屋外労働者職種別賃金調査によると、2003年の大工の現金給与額(1日1人平均)は1万3980円。国土交通省の04年度公共工事設計労務単価(工事費の積算に用いる基準額)では、本県の大工の日額賃金は2万200円となっている。

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