4・頼りになる性能表示 制度活用少ない工務店 掲載日2004/08/01
基礎の配筋工事終了時に行われた現場検査=7月23日
  施工業者選びで決め手となったのは、建物の性能を等級付けする「住宅性能表示制度」だった。等級で品質の水準が分かるほか、第三者機関が設計、施工の両面でチェックしてくれるので、素人があれこれ悩むより、信頼できると考えた。
  同制度は、欠陥住宅防止などを目的に2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で創設された。新築住宅を対象に構造の安定、火災時の安全、高齢者配慮など9項目で等級付けし、使用建材や規格などを細かく規定している。
  第三者機関(国土交通省指定)は基準に適合した住宅かどうかをまず設計図面でチェック。施工中も建設評価として現場検査が4回行われる。建設評価を受けると、業者とトラブルになった場合、紛争処理機関がわずか1万円で解決にあたってくれる。
  消費者にとって頼りになる制度だが、なぜか協力してくれる工務店がなかなか見つからなかった。業者選びではなく、業者探しに半年余りも奔走する羽目になった。
  「住宅性能表示制度を利用したい」と希望を話すと、業者からは「ちゃんと工事するから必要ない」「お金を出してまで利用する人はいませんよ」「信頼してほしい」などと否定的な回答ばかり。制度利用を条件にプランづくりを頼んでも、提案の際には無視されてしまうケースもあった。
  地方の中小工務店は、一般的に大手ハウスメーカーに比べて、知名度や安心感の面でハンディがある。だからこそ、工務店が同制度を活用し、消費者に安心を与えることが大切だと思う。しかし、大手メーカーの方が自社商品をPRする手段として積極利用しているのが現状だ。工務店にはもっと危機感を持ってほしいと思う。
  わが家は同制度で構造の安定、劣化の軽減、維持管理対策、温熱環境、空気環境の5項目で最高等級を取った。同制度を申請した機関は県建設技術センター(前橋市大渡町)で、費用は設計評価2万6000円(設計料に含む)、建設評価は8万6000円だった。

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