中高年からのスタート(31)脳梗塞を越えて(上) 赤城山下りで発症 掲載日2009/07/09
脳梗塞発症時の状況を話す石飛さん
 伊勢崎市韮塚町の石飛征造さん(70)は8年前、妻と一緒に桃ノ木川まで“自転車散歩”に出掛けた。約10キロの道のりだったが次第に妻のこぐ自転車に追いつけなくなった。自分の体力がひどく落ち込んでいたことを痛感した石飛さんは「何かやらなければ―」と本格的に自転車を始めた。
 「速く走れないのは乗り物のせいだ」と思い、数十万円するロードバイクを買った。一緒に走る仲間もでき、毎日のように赤城山の南面に取り付き、坂道を上った。いつの間にか100キロの走行も楽々こなせるようになった。
 ところが2年前。走り慣れた坂道を上り前橋市三夜沢町の赤城神社へ向かった。好天のせいだけでなく、やけに多くの汗をかいた。視力に異常が出たのか、ハンドル周辺を見ても焦点が合わない。そのうち右目がよく見えなくなった。体調がおかしい―と思い、その日は引き返した。
 3日後、再度、赤城神社へ。最初は何も異常を感じなかったが帰路、自分に話したい意思があるのに、文字どおり言葉が出なくなった。脳梗塞(こうそく)が発症していたのだった。
 「最初のころとは違い、体力は付いていた。それを過信していたわけではないんだが、脳梗塞なんて思いも寄らなかった」
 言葉が出ない症状が出て2日後。石飛さんが病院に足を運ぶと、その場で入院を言い渡された。MRIで血栓(けっせん)が見つかったのだった。入院前に石飛さんは2台目のロードバイクを注文したばかり。キャンセル以外に選択肢はないように思えた。だが医師の「赤城山に上るような無理な運動でなければ、自転車に乗ってもいい」と言われ、心が軽くなった。入院2週間で退院すると再び、石飛さんは自転車に乗り始めた。


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