中高年からのスタート(12) 何歳まで乗れる? 87歳が「安全の心得」 掲載日2009/02/19
しっかりとした足腰で自転車に乗る木村さん
 長く自転車に乗っていれば、一度や二度は派手な転倒をしたり、車止めに衝突するなどしてけがをすることもある。昨年、取材した60代男性に久々に会ったところ、「年末に自転車で転んで、肋骨(ろっこつ)を折ってしまった。まだ多少痛むが、何とか乗り出せるようになった」と頭をかいていた。
 伊勢崎市境の島村休憩所に集う最高齢のライダー、木村一さん=同所=は今月25日、87歳になる。年金生活に入り本格的に自転車を始めた木村さんは「事故らしい事故に遭ったことがない」というのだ。
 「みんなと一緒に走るときは、まず車間距離。前の人が倒れても、巻き込まれないこと」を心掛けている。視野が狭くなるという理由からドロップハンドルは使わない。危険と思われる個所では、停止線がなくても一時停止を欠かさない。「スピードを出し過ぎないことも安全運転の秘訣(ひけつ)」と木村さん。「それでも、ヘルメットをかぶった方が安全では」と勧めると「私は要らない」ときっぱり。個人的にはヘルメット着用は譲れない一線だが…。
 木村さんの趣味は山野草栽培、金魚の飼育、寺社の彫り物観賞など幅広い。車の免許のない木村さんは、ふらっと自転車で出掛ける。珍しい山野草を求め、埼玉県秩父市やみどり市まで足を延ばすこともあった。
 それでも、老いは避けられない。木村さんの妻は最近、腰痛を訴えて自転車に乗ることをやめてしまった。そんなこともあって遠出の回数が減ったという。「老人ホームにでも入るかなぁ―と妻と話すこともあるんだよ」
 80代でも自転車に十分乗れることを証明する木村さん。一方で「自転車を降りる時期」もしっかり見定めていた。


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