中高年からのスタート(1) 休憩所 楽しんで健康に 掲載日2008/11/27
伊勢崎市の利根川左岸、島村の渡し近くにある休憩所でくつろぐ中高年男性たち。マウンテンバイクやロードバイクなど車種もさまざま

定年後の男性中心 50キロ圏から人の輪

 伊勢崎市境、島村の渡しにほど近いサイクリング道の休憩所に次々と自転車が止まる。ヘルメットから少し白髪がはみ出す。自転車を降り、トイレに向かったり、ベンチで持参のおにぎりを食べ始めた。男性たちは、そこが自分の庭のようにくつろいだ。
 ベンチで秋の日を浴びながら伊東宏義さん(63)=同市長沼町=が説明してくれた。「集まるのは、ほとんどが“週休七日”の六十代以上。お互いに顔はよく知っていても、詳しい素性は知らない。ただひとつ、自転車が共通項で、自然と話が盛り上がるんだよ」

夏場は20−30人

 休憩所が使えるようになったのは三年ほど前。トイレや駐車場も整い、徐々にサイクリストが集まるようになった。島村の渡しを使えば自転車ごと対岸に行ける。夏場は利根川を渡る川風が特に心地よい。十一月の平日正午ごろ、風はやや冷たかったが七、八人になった。夏場となれば二十―三十人が集まることもあるという。平日は定年過ぎの男性が中心だが、女性や夫婦で立ち寄る人もいる。最高齢は八十代。栃木県佐野市、対岸の埼玉県本庄市、渋川市、板倉町など休憩所を中心に五十キロ圏内から人が集まっている。
 伊東さんが続ける。「ここでは肩書も前職も関係ない。自転車歴もさまざま。初心者が疑問をぶつければ、だれかが教えてくれる。来ているうちに自転車の知識が増える」。
 増田一臣さん(67)=高崎市江木町=は千代田町の利根大堰(おおぜき)に向かう途中に立ち寄った。「好天なので、サケの遡上(そじょう)を見ようと思ってね」。十日に一回ほど百キロ近い距離を走るという増田さんは六十一歳の時、右ひざをを手術、リハビリを兼ねて自転車に乗り始めた。大腿(だいたい)筋を鍛え、ひざの負担を減らすのが目的だった。「筋力が付いただけでなく、自転車の楽しみを知った」と強調する。

血糖値も正常に

 他のメンバーも「糖尿病と言われて…」「痛風が悪化しないように」「術後に減量するように言われて」など健康づくりのため、乗り出した人が多い。実際、一年間で十キロ減量に成功した人や血糖値が正常に戻った人など成果を実感。「自転車は体にいい」と口をそろえる。

  ◇   ◇

 定年後の健康づくりを考えて自転車に再び乗りだす人たちが増えている。筋力が向上し、体も気持ちも前向きになり、新たな仲間づくりにもつながっている。中高年から自転車的生活を再スタートしてみるのはいかがだろう。自転車選びのポイントやおすすめのサイクリングコース、乗りだす際の注意点などを「定年ライダー」の声を集めて伝えていく。


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