44・ 地道な積み重ねが大切 林道100キロレース 掲載日2006/9/9
全身どろだらけになって林道を走るセルフディスカバリーの参加者

 長野県・御岳のふもとで9月、林道100キロをマウンテンバイクで走破する自転車レースが開かれる。セルフディスカバリー(自分の再発見と訳したらいいのだろうか)と冠した大会は、私の挑戦心をひどく、くすぐった。
  初めて参加した2年前、走り出してすぐに雨が降り出した。石がごろごろした林道を全身ずぶぬれで走った。いつ終わるか知れぬ坂道を黙々と上った。待ちに待った下り坂は、尻と腕に振動がじんじん伝わった。ハンドルを強く握りしめたが、だんだんと感覚がなくなってくる。
  苦行僧のように走り続けるこの大会の人気は、年々高まっている。私が初めて参加した2年前、1000人の応募枠があっという間に満杯。昨年は応募者が多くて、晩秋に追加大会が開かれたほどだ。アップダウンの激しい林道を10時間以内に走り切ればよい。ただ、それだけが条件。私のような中年でも、挑める程度の、ちょこっとの冒険があるのが魅力だろう。
  アドベンチャー系の自転車レースは、登山に似ていると思う。地図とにらめっこして、高低差を読み、コースをイメージする。自分なりのチェックポイント通過時間を想定し、ゴールまでのレース展開を描く。そして、走り切れる体力を養うため、当日までの練習プランを作る。そんな地道な積み重ねが、ゴールの喜びを倍加させる。
  初参加のゴールタイムは約8時間だった。昨年は、自己記録更新を狙って半年前からトレーニングを重ねた。1日60キロ、月間で1000―1500キロ走った。自転車も新調、両輪サスペンション付きで、車重が2キロ軽いものにした。結果は前年より20分ほど早いタイムでゴールできた。筋肉がぴくぴくするほど疲れていたが、心地よい達成感にひたった。
  残念ながら、今年はあまりに準備不足、練習不足。昨年ほどの熱意がわいて来ない。しばらくは体力を充電して、いつの日にか再び、御岳の雄姿を目に焼き付けたい。


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