39・ 日本横断その後 走り終えた自信 生きる力に 掲載日2006/8/5
碓氷峠の坂道を元気よく上る小学生

 県内の小学生が今夏、自転車で日本横断した。4泊5日、総距離330キロを走った子供たちの“快挙”に、読者から反響をいただいた。
  小学生を送り出した高崎市のお母さんから。「うちは一人っ子。5日間を友達と過ごすことで、じゃれあったり、けんかしたりと、いつもと違う体験をしてほしかった」という。しかし、決断まで子供本人は相当悩んだ。そして、いつになく厳しい顔で「行く」と宣言。お母さんは「最初は、行ってほしいと思っていたが、厳しい顔で宣言された瞬間から、逆に不安のほうが膨らんでしまった」と振り返る。
  子供たちの意気込みは半端ではなかった。「何度も行きたい、行きたい―と粘って親を説得した」という子も。東京・竹芝桟橋を出発してすぐに転倒、仲間の車列に突っ込んだり、歩道の段差にハンドルを取られて倒れた子もいた。ある子は、碓氷峠で私に「転んであざができちゃった」と笑顔で、大きな青あざを見せてくれた。
  天候も今回は厳しかった。前回までは、雷雨がほんのちょっぴり一度だけ。が、今回は梅雨空続きの5日間。雨がっぱを着て走ることも、多かった。妙高高原では、にわか雨にも見舞われた。
  子供たちと3年間、同走しているカール・カウアンさん(38)は「走る前と走り終えた後では、子供たちの表情は確実に違う。やり遂げた自信が生きる力になっている」という。
  読者から「子供たちの挑戦に感動した。ボランティアとして一緒に走ってみたい」という激励もいただいた。
  前述のお母さんは「行く―といった息子の心の中には、母に認めてもらいたい、褒めてもらいたいという気持ちがあったように思います。心配して送り出したけれど、2倍も3倍も、うーん10倍くらいたくましくなって帰ってきた。それが実感です」。
  カールさんは今月18日から再び、第2陣の小学生5人と共に日本横断の旅に出る。


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