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| 小さな低木だけが茂るだけのモハベ砂漠 |
自転車で世界を旅する佐々山厚さん(57)、葉子さん(58)夫妻=高崎市上中居町=が、82日間の米国旅行から戻ってきた。早速、旅の土産話をうかがってきた。
旅の目的は「アメリカがどんなに広いのか、見るため」(厚さん)という。開口一番、葉子さんは「生活のウェイというのか、流儀がまったく違う」。
2人は、3月上旬に日本を出発、自転車でロサンゼルスから東海岸を目指した。西海岸から東へ行くためにはロッキー山脈を越えなくてはならない。今回のルートの最高地点は2000メートル超。広い国土を毎日数10キロずつ進む、進む、進む。その積み重ねで大陸を横切り、山脈を越えていく。
日本なら、標高2000メートルの分水嶺(れい)を越えるとなれば、相当な難所となるはずだ。ところが、厚さんは「毎日少しずつ標高が上がっていくので、坂を上っているという印象はない。ものすごく、広くてなだらかな大地という感じ」だという。
とにかく自然も人々の暮らしもサイズが違った。次の町までは150キロ。1日で走り切れないので、途中の道端で野宿したこともあった。キャンピング場では、大型キャンピングカーをよく見かけた。それは、トレーラーの上に家、自転車が載り、小型乗用車も一緒にけん引。まるで「動く家」なのだ。
2人は東西を結ぶ「ルート40」で東へ向かった。大動脈とあって、大型トレーラーが時速100キロ超でびゅんびゅん行き交う。その脇を自転車で走るのは日本なら危険だろう。ところが、米国では3メートルの路側帯が保たれ、恐怖心はなかったという。
「陽気な人が多くて、よく話し掛けられた。自転車で東海岸に向かっている―というと、『クレイジー!』なんて、言われたよ。3カ月近く走っていたのに、途中ですれ違ったサイクリストは、たった1人。それが一番驚いた。米国では、自転車はレジャーの道具であっても、交通手段じゃない」と厚さんは語った。
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