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| 国道291号は一ノ倉沢で舗装が途切れ、自転車で走れるのは芝倉沢まで。その先は道が寸断され、担いだり、押したりの連続だった |
紅葉の谷川岳を見ようとするマイカーで、水上町の国道291号線は混雑していた。120年前、明治政府の肝いりで、この道は「清水越新道」として開通、米の重要輸送路となった。しかし、今は一ノ倉沢から先は徒歩でしかいけない。その先はどうなっているのか。自転車で上越国境の清水峠を目指してみた。
山岳サイクリングというジャンルがあるらしい。マウンテンバイク愛好者で、人しか通れない峠道、やぶの生い茂った道なき道を自転車で走る。走れない区間は自転車を押す、担ぐ。何冊かガイド本も出ており、ちょっと興味を覚えた。周囲に山岳サイクリングを教えてくれる人もいないので、見よう見まねで、国道291号に挑んでみた。
午前9時すぎ、水上町に到着。車から自転車を降ろし、出発。湯檜曽川沿いに上流へ向かう。ハイカーの一団を「すみませーん」と言いながら追い越す。歩く人優先。まして、観光地なら、なおさら、自転車はどうみても異端だ。
走り出して1時間、舗装が途切れた。一ノ倉沢から先は砂利道だが、まだ傾斜もゆるく、道幅も広い。国策で作られた名残を示す立派な石積みがあったりする。砂利道を30分走ったところで芝倉沢に着いた。道も急こう配になり、大きな石がごろごろ。さらに、沢の水が道を押し流して崩れていた。
ここから先はどうなっているのか。急に冒険心が頭をもたげた。とにかく自転車で、行けるところまでいこう。一つ目の崩落はなんとか担いで越えられた。しかし、芝倉沢から先、崩落が次々と出現。道をふさぐ岩は、いつごろ崩れたのか想像もできないほど、苔(こけ)むしていた。
自転車を押し、担ぐこと約1時間半。ついに大きな崩落が行く手を阻んだ。谷の深さ5メートルはあろうか。この区間、平日とあって、人と出会うことはなかった。「あぁ、これが国策で造られた道の今か」。疲労感とともに寂莫とした思いが心を覆った。 |