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世界遺産 富岡製糸場と絹産業遺産群

田島弥平の「清涼育」実験棟「香月楼」 扁額を発見 

更新日時:2017年3月17日(金) AM 11:00
 世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」の一つ、田島弥平旧宅(群馬県伊勢崎市境島村)の敷地から、弥平が通気性を重視する蚕の飼育法「清涼育」を完成させるために実験を重ねた建物「香月楼」の扁額へんがくが見つかったことが16日分かった。建物の名付け親とされる江戸時代の漢学者、梁川星巌の名前や当時の年号とみられる文字があり、市教委は「伝承の裏付けになり得る資料」としている。

“名付け親”の裏付けに
 市教委文化財保護課によると、扁額は縦37センチ、横138センチ。建物調査のため、昨秋に母屋西側の倉庫「種蔵」から運び出した所蔵品の中にあった。「香月楼」や「星巌」、1854(嘉永7・安政元)年に当たる「嘉永甲寅」といった文字が彫られている。

 旧境町の町史によると、弥平は同年、前年のペリー来航で騒然とする京都を訪れ、星巌らに情勢や所見を聞いたとされる。旧宅前当主の故・田島健一さんは香月楼の名付け親を星巌と説明していたといい、同課は「これまで裏付けがなかったが、この京都訪問時に依頼した可能性が強まった」としている。

 香月楼は母屋の東側に建物跡の石積みしか残っていないが、弥平の著書「続養蚕新論」で1856(安政3)年建築とされる。弥平は香月楼を使った3年間の研究の成果を基に63(文久3)年、屋根の上に換気用のやぐらを備えた現在の母屋を建てたとされる。

 同課は「扁額の年号と建築年の2年の差など不明な点もある」と説明。外部有識者らでつくる旧宅の調査整備委員会と相談しながら「今後の研究や活用の方向を検討したい」としている。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

見つかった扁額。左側の縦書き部分に「嘉永甲寅」「星巌」といった文字がある

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