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世界遺産 富岡製糸場と絹産業遺産群

碓氷製糸の最高規格生糸「6A」 映画製作 前橋出身の桜井さん 

更新日時:2019年11月11日(月) AM 06:00
 群馬県の碓氷製糸(安中市)が生産する最高規格「6A」の生糸を紹介するとともに、養蚕や製糸の現状を通して絹文化に関心を持ってもらおうと、前橋市出身の映画監督、桜井顕さんがドキュメンタリー映画「ゆめ まぼろしの 糸」を製作している。同社をはじめ県内の養蚕農家や都内の呉服商が協力し、月内に撮影を終える見込み。桜井監督は「養蚕、製糸、呉服に関わる人たちの熱意を見せたい」と意気込んでいる。

 作品はキャスターが県内の関係各所を巡る形式で進行する。6A生糸を生産する碓氷製糸では製糸工程や生糸の等級について解説するほか、6A生糸で染織された加賀友禅を廉価で提供する呉服商「やまと」(東京都)の取り組みを紹介する。

 国産生糸による和服の需要を高めようとする同社の取り組みから、絹文化の在り方についても考える。養蚕農家での蚕の飼育や富岡製糸場の歩みにも触れ、本県の養蚕や製糸に関連する歴史や文化を分かりやすく伝える。

 6A生糸は節やむらがなく、均一の細さが特徴。自動織機による織布の生産性が向上するといったメリットがあるとされる。碓氷製糸は2016年、大日本蚕糸会(同)の補助を活用して生糸120本を一度に引ける中古繰糸機を再整備して6A生糸の生産を開始。生産量は徐々に増加しているという。

 作品では、県内の養蚕農家の数や繭の生産量が年々減少していることや、着物に使われる生糸のほとんどを外国産に頼っている現状も取り上げる。桜井監督は「着物を持っていても、生糸の産地や等級について知る人は少ない。そうした事実に気付いてほしい」と強調する。

 桜井監督は、これまでに養蚕や製糸に関するドキュメンタリー映画を2本製作している。その中で生糸に等級があることを知り、映画化を企画した。公開は来年春ごろを予定している。

 桜井監督は「高品質の生糸ができるのは、群馬の良い土壌と、養蚕や製糸の技術のおかげ。映画を通して絹文化の未来を考えるきっかけになるといい」と話している。

※詳しくは「上毛新聞」朝刊有料携帯サイト「上毛新聞ニュース」でご覧ください。

碓氷製糸で撮影を行う桜井監督(右)

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