全国の都道府県が管理する港湾・漁港で、放置されている漁船の解体などの処分を行政側の負担で行ったケースが過去8年で22道府県の少なくとも432隻に上り、計3億6700万円以上の費用がかかったことが18日、各自治体への取材で分かった。漁業従事者の高齢化が進み、後継者も不足する中、廃船は今後も増加が見込まれる。対応にかかる労力や費用捻出に苦慮する現場からは「著しく行政を圧迫している」との声が上がっている。
共同通信は昨年12月~今年1月、海に面する39都道府県と琵琶湖のある滋賀の計40都道府県にアンケートを実施。有効回答の多かった2017年4月~24年12月に行われた廃船処理について集計した。
調査結果によると、三重や沖縄など9道県が放置漁船54隻を所有者に代わり撤去する行政代執行を実施し、費用は約1億9500万円に上った。
その他、所有者不明や資産価値のない漁船を行政の負担で撤去したのは17府県による378隻で、費用は約1億7200万円だった。うち4県は行政代執行もしていた。
三重県尾鷲市の賀田湾に沈んだまま放置された船=4月