【ビエンチャン共同】中谷元・防衛相は21日、訪問先のラオスの首都ビエンチャンで中国の董軍国防相と会談し、日本周辺での中国軍の活動に強い懸念を表明した。中国軍機による日本領空侵犯に厳重抗議し、再発防止を強く求めた。両氏は石破茂首相と習近平国家主席が確認した「戦略的互恵関係」の構築に向け、防衛当局間の対話推進で一致した。日中防衛相会談は今年6月以来で、中谷氏の就任後初めて。
中谷氏は会談冒頭、中国の軍事活動活発化について「深刻に懸念している」と強調。「防衛当局間で率直な議論と意思疎通を重ねるのは極めて重要だ」と呼びかけた。
董氏は、台湾や沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)での日本の行動に懸念を示した上で「両国の防衛当局が対面で議論するのは、中日関係と地域の平和に重要な意義を有する」と応じた。
中国の軍事活動を巡っては、8月に軍用機が初めて日本領空を侵犯した。日本政府は今月19日、中国側が「技術的問題で進入する意図はなかった」として事実関係を認め、再発防止に努めると伝達してきたと発表した。
会談前に握手する中谷防衛相(左)と中国の董国防相=21日、ラオス・ビエンチャン(共同)