上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン
事務所として使われていた当時の様子を話す庭野さん(中央)
全国一の座繰り製糸組合 碓氷社の歴史に思い 明治末の事務所 特徴的な構造学ぶ 安中で見学会
掲載日2010/08/02
全国一の座繰り製糸組合となり、地元養蚕農家に富をもたらした碓氷社の歴史に光を当てようと、安中市原市に残る「旧碓氷社本社事務所」の見学会が31日行われた。市民ら60人が参加し、100畳敷きの大広間など特徴的な構造や歴史を学んだ。この日は創設・発展の中心人物だった萩原鐐太郎の命日でもあり、先人の先見性と志の高さに思いをはせた。
見学会は「第2回地元・絹産業の歴史を学ぶ」の一環。地元住民の結び付きを再生しようと市内で活動している磯部南京玉すだれ愛好会おこさまネットワークが開催した。
碓氷社は1878(明治11)年設立。組合員である養蚕農家が座繰りで引いた自家製の生糸を持ち寄って出荷する組合で、高品質な生産者として海外から高く評価された。
事務所は1905(明治38)年に建てられ、県の重要文化財に指定されている。外観は和風だが、西洋風の構造を取り込んだ「近代和風」の木造2階建て。現在は県内の不動産業者が所有しており、この日は特別に内部が公開された。
碓氷社が戦時中に解散した後、建物や事業を引き継いだグンサンの元常務の庭野義智さんが案内役となり、ゆがんで見えるフランス製の年代物の窓ガラスや、訪れる外国人のための持ち運び可能な洋式トイレなどを紹介した。
見学会に参加した今井英次さん(85)は昭和初期の碓氷社の様子を思い返し、「にぎやかだった。現金収入の少ない農家を助けた地域のよりどころだった」と懐かしそうに語った。
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