上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン

シルクカントリー群馬
Silkcountry Gunma21
シルクカントリー群馬イメージ
蚕に桑を与えるお年寄り
蚕に桑を与えるお年寄り

認知症予防へ養蚕作業 神流の特養 入所者が上蔟、繭心待ち
掲載日2010/06/04

来年の大型観光企画「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」や7〜9月のプレDCに向け、中之条観光ガイドボランティアセンター(湯浅昌雄代表)は15日、中之条町山田の天蚕工房「登坂工房」(登坂昭夫代表)など同町内の観光名所を巡るガイド研修を行った。
神流町万場の特別養護老人ホーム「シェステやまの花」(黒沢功理事長)で、入所者が蚕の飼育を楽しんでいる。2日は入所者と職員ら10人が桑の葉を蚕に与えたほか、8センチほどに育った蚕を回転蔟(まぶし)や竹蔟に移し、繭が完成するのを心待ちにしていた。
奥多野地域では1950〜60年代に養蚕が最盛期を迎えた。しかし、農家の高齢化や安価な中国産生糸の流入で、いつの間にか神流町からは養蚕農家が姿を消してしまったという。
施設の入所者はかつて養蚕に従事して生計を支え、「お蚕さま」を大切にしていた。こうした入所者から「お蚕さまを育てたい」という声が上がったのをきっかけに、施設では2005年から養蚕に取り組んでいる。
施設での養蚕は、伝統産業の継承や利用者の交流を図るだけでなく、お年寄りが養蚕を通じて昔の記憶を呼び起こすことで、認知症の予防や改善効果も期待されている。
県蚕糸技術センターから譲り受けた蚕は「ぐんま200」「新青白」「ぐんま黄金」の計600匹。12日ごろには白、薄緑、黄色の繭ができる予定。万場小や万場高の児童生徒が見学に訪れ、地域交流にも一役買っている。
入所者は「昔は桑の葉を取りに行き、一日一日が忙しかった」と振り返りながら、蚕をいつくしむ。かつて養蚕をしていた同町塩沢の高橋ぬいさん(107)は「昔はよいじゃなかったが、繭ができるとほっとしたもんだ」と目を細めていた。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------