上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン

シルクカントリー群馬
Silkcountry Gunma21
シルクカントリー群馬イメージ
桑くれを行う子供たち
「挫折を乗り越えて生き抜いた姿を伝えたい」と語る橋本さん

製糸場や養蚕農家紹介 写真展 東京
掲載日・2009/08/03
蚕種生産で栄えた伊勢崎市境島村地区の歴史を子供向けに紹介した本「上州島村シルクロード」が、日本児童文学者協会会員の橋本由子(本名・橋本ヨシ)さん(78)=同市境島村=により出版された。明治時代の地区と若者一家の姿を通して、蚕種生産が果たした役割を伝えている。
主人公の「田島壮太郎」が蚕種生産に取り組む物語。蚕種を売るために渡ったイタリアから顕微鏡を持ち帰り、蚕の微粒子病拡大を防いだ田島啓太郎(1854〜1937年)をモデルとしている。
啓太郎の子孫への調査や資料に基づいて利根川の洪水と闘いながらの蚕種生産、会社組織の設立、イタリア赴任、新天地の開拓まで、困難を乗り越えて力強く生き抜く人々の姿を描いた。
橋本さんはこれまでに日本童話会賞、県文学賞などを受賞。「上州島村―」は30年以上前に一度書き上げていたが、資料などで新たな事実が分かるたび手を入れたため「内容はどんどん膨らんでいった」という。
同書は神奈川県鎌倉市の銀の鈴社刊。A5判、212ページで1260円。巻末では本県の蚕糸関係の通史年表、世界遺産暫定リストに記載された富岡製糸場と絹遺産群も紹介している。
橋本さんは「質の高い島村の蚕種がイタリアで買いたたかれ、啓太郎は失意のまま帰国した。それでもくじけず日本の近代化に尽くした姿を描きたかった」と話している。

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