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シルクカントリー群馬
Silkcountry Gunma21
シルクカントリー群馬イメージ
今井所長の解説を聴く受講者
金井さん宅で養蚕を手伝う松田さん(中央)

養蚕農家で“修業” 自ら繭生産目指し 東京農大研究員の松田さん 富岡 「絹タンパク」で食品事業化へ研究重ねる
掲載日・2009/06/11
繭を使った新しい事業展開で、養蚕に活路を―。東京農業大研究員で「シルクタンパク質」を研究する松田道夫さん(23)が富岡市内の養蚕農家に“弟子入り”している。この成分を食品加工などに応用、試験的に製品化しており、松田さんは事業化を計画。「将来的には自分で繭を生産したい」と、農家の門をたたいた。
 絹タンパクは繭の成分「フィブロイン」を抽出したもので、水溶液にして食品に加えると食感が良くなる。松田さんは大学3年だった2006年、長島孝行准教授の下で研究を始め、富岡甘楽地域の業者らとともに、同成分入りのシフォンケーキやせんべい、こんにゃくゼリーなどを開発してきた。
 次第に養蚕を勉強したくなり、富岡市内に住居を借り、5月20日から金井一男さん(68)宅で春蚕を手伝っている。蚕にはなじみ深いが、給桑から上蔟(じょうぞく)、収繭(しゅうけん)まで一連の作業に立ち会うのは初めて。「養蚕農家がどんどん減る中で、学べる機会は今しかないと思った」と話す。
 現在の繭の用途はほとんどが繊維産業だが、輸入製品に押されて国産繭の需要は激減。絹タンパクの研究は日本が最も進んでいると言われ、ビジネス展開が軌道に乗れば、養蚕の存続につながる。金井さんは「松田君の試みが成功して、養蚕が残る道筋がついてほしい」と期待する。
 「新しい養蚕の場をつくり、若い世代に発信したい」と話す松田さんは、金井さん宅に大学の友人らを呼び、地道に広めている。大きな目標に向けて、春蚕が終わった後に大学に戻り、絹タンパクの水溶液や粉末を生産・販売するための準備を始める。

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