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「養蚕の神」について話す阪本さん
「蚕神に豊作祈る」 吾妻の養蚕信仰紹介 日本民俗学会員 阪本さん、中之条で講演
掲載日・2008/08/27
「養蠶(かいこ)の神々」をテーマにした文化講演会(中之条町教委など主催)が二十三日、同町の吾妻郡文化会館で開かれ、同町の中学校で教師をしていたこともある日本民俗学会員、阪本英一さん(75)が、同郡内の養蚕に関係する民俗信仰を中心にスライドなどを使いながら解説した。
阪本さんは、「吾妻の確かな養蚕の記録はない」としたうえで、八ツ場ダム工事関連の発掘調査で長野原町川原畑、東宮遺跡で、一七八三(天明三)年の浅間山大噴火の泥流で埋まっていた民家の床下から繭とさなぎが出土したことを紹介。養蚕は農家の貴重な収入源であったが、同時に「運の虫」「オカイコばくち」と呼ばれるほど厳しい状況だった。とりわけ、主婦にとっては試練の一つで「当たり嫁ご」「はずれ嫁ご」と養蚕の出来、不出来で評価が分かれた、という。
そんな過酷な労働を背景に、養蚕の豊作を願って数々の信仰が生まれたが、神道にも仏教にも「養蚕の神」という確かなものは見当たらず、「養蚕農家が蚕神を生み、養蚕の衰退が蚕神信仰を終わらせたのではないか」と語った。
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