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彦部さんと大正7年ごろには37人の従業員が寝泊まりしていた寄宿舎
「桐生織物と彦部家」考察 文化財活用でシンポ 26日
掲載日・2008/01/23
国重要文化財「彦部家住宅」の保存活用を進める友の会「鳳純会」(森山亨会長)は二十六日午後一時半から、桐生市広沢町の同住宅で歴史シンポジウム「桐生織物と彦部家」を開く。中世武家屋敷として知られる同住宅の当主らが桐生織物と深くかかわってきたことを、桐生文化史談会の亀田光三会長と清水照治理事が研究成果をもとに解きほぐす。
今回の企画は文化庁の文化財建造物モデル事業の一環。同住宅は全国十一カ所の建造物とともに同事業の委嘱を受け、昨年十月から「まちおこしフォーラム」「地域歴史文化芸能交流」などで重要文化財の活用策を探ってきた。今回のシンポジウムは五回の事業の締めくくりとなる。
清水さんは江戸時代末期の近世にスポットをあて、古文書の解読から信有(一七六五―一八三二年)と知行(一七八九―一八六八年)親子の時代を探る。信有は医家で染色の調法に精通し、子の知行は父の影響を受けながら黒色染めを研究、黒繻(じゅ)子(す)を完成した。
亀田さんは明治から昭和にかけての桐生織物の状況とその当時の彦部家当主、駒雄(一八七八―一九三五年)の果たした役割に迫る。駒雄は世界恐慌の時代に人絹織物の普及に尽力、輸出織物を開拓した。桐生織物同業組合長も務めている。
文化庁のモデル事業を通して、現当主の彦部篤夫さん(58)は「今後も重要文化財を開放活用して、地域づくりに貢献したい」と話している。シンポジウムへの参加は無料だが、入館料五百円。参加希望者は事前に同住宅(電話0277・52・6596)へ連絡。
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