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産業遺産群に9件 屑糸紡績所や桐生の機屋 経産省が原案
掲載日・2007/10/23
経済産業省が、日本の近代化をけん引した歴史的な工場跡や鉱山などをテーマごとにまとめた「産業遺産群」=豆字典=の原案が二十二日明らかになった。全国にまたがる三十三の遺産群で構成され、本県からは「製糸」の遺産群に旧官営新町屑(くず)糸紡績所(高崎)など四件、「織物」に桐生市内の機屋など五件の建造物が入った。同省は遺産群としての認定やビジネスに活用する研究などで、遺産群を利用した地域活性化の取り組みを支援する。
「製糸」の遺産群のテーマ名は「『上州から信州そして全国へ』近代製糸業の発展過程を物語る産業遺産群」。同紡績所のほか、旧官営富岡製糸場(富岡)と旧甘楽社小幡組倉庫(甘楽)、碓氷峠鉄道施設(安中)、旧山一製糸旧牧新七家住宅(長野・須坂)、グンゼ記念館(京都・綾部)などが構成遺産となった。
「西洋の器械製糸技術が旧富岡製糸場に導入され、長野県など全国に広がり、世界一の生糸生産国になった」や「製糸の過程に生じるくず糸を絹紡糸に加工する旧新町紡績所は、地場の織物産業に原料糸を供給した」という点を評価している。
「織物」のテーマは「多様で柔軟な専門技術集団を構成している両毛地域における絹織物生産関連産業遺産群」。ともに桐生市内にあり、のこぎり屋根を備える工場の金谷レース工業と旧飯塚織物工場をはじめ、織都の繁栄を象徴する桐生織物会館旧館、絹撚記念館、群馬大学工学部同窓記念会館に加え、旧足利模範撚糸工場(栃木・足利)なども入っている。「多様な織物の柔軟な生産で、和装の大衆化の流れを作った」と価値付けている。
経産省は今月二十五日の有識者による「産業遺産活用委員会」で原案を議論する。関係企業や自治体との調整を経た上で、十一月三十日に横浜市で開く同省主催の遺産群に関するシンポジウムで発表。各遺産群の認定式を行う予定。
三十三の遺産群は計約三百カ所の個別遺産で構成されている。近県では「足尾銅山」をテーマに同銅山跡(栃木・日光市)、「国際観光」で金谷ホテル(同)、「赤煉瓦(れんが)」で旧下野煉化製造会社(栃木・野木)と旧日本煉瓦製造会社(埼玉・深谷)などが候補に挙がっている。
同省は今年五月に産業遺産を公募。認定した遺産群は今後、雑誌などを通じて紹介するほか、観光周遊コースの設定などビジネスに活用する研究を始めたり、専用のウェブサイトを作る。
◎豆字典
産業遺産群 経済産業省が地域活性化策の一環として今年から認定を始めた。個別に紹介されていた全国各地の歴史的な工場や製鉄所、造船所、鉱山、港湾、鉄道跡などをテーマごとに結び付け、偉人や有名企業名も盛り込んでストーリー性を持たせた点が特徴。自治体の提案を基に、近代史の専門家が加わった委員会で内容を検討している。
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