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伝統的建造物群について理解を深めるため、伊勢崎市の境島村公民館で開かれた講演会
「重伝建」理解深めて 市教委 養蚕農家住民らに講演 伊勢崎・境島村
掲載日・2007/08/12
伝統的建造物群保存地区について理解を深めてもらおうと、伊勢崎市教委は十日夜、同市の境島村公民館で、境島村地区の住民を対象とした講演会を開いた。今も残る大型養蚕農家に住む地区住民らが、伝統的建造物群保存地区について学んだ。
講師は、六合村赤岩地区の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)選定に携わった県教委文化課の古沢勝幸専門員。古沢専門員は伝統的建造物群保存地区の制度や重伝建になるまでの流れ、維持・修繕費用の補助など重伝建への支援、重伝建での制限を分かりやすく説明した。
世界遺産に登録されるには、重伝建選定や国の重要文化財の指定など文化財保護法での保護が必要となることを指摘した。
講演会終了後は、参加者から補助対象となる修繕や保存地区の範囲の決め方などが質問された。
市教委は、重伝建の選定を視野に入れて、境島村に残る大型養蚕農家と同地区で発達した近代蚕種業の調査に着手。農家を実測して構造や配置などを詳細に図面化、建物の分布調査も行う。蚕種は歴史、民俗学的な視点から調査する。市教委はすでに終了した蚕種をふ化させる催青所(さいせいじょ)と島村教会の調査と併せて、重伝建選定に向けた基礎資料を整える
同地区は、田島弥平ができるだけ自然に任せる養蚕の飼育法「清涼育」を説いた技術書「養蚕新論」を著した地で、日本三大蚕種産地の一つとして栄えた。同書の指導に基づき、蚕室の通気を良くするため屋根の頂に幾つかの小窓を設けた農家約七十棟が今でも残る。
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