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米・フィラデルフィア万博で集合写真に収まる 県立歴史博物館に展示され、速水堅曹に似ていると
1876年の速水堅曹(県立文書館収蔵) 指摘を受けた写真「洋装の男性像」(金井よし子さん所有)
1876年の速水堅曹(県立文書館収蔵) 指摘を受けた写真「洋装の男性像」(金井よし子さん所有)
速水堅曹 酷似、子孫が指摘 新たな肖像写真か 歴博企画展展示「洋装の男性像」
掲載日・2007/06/24
人物名が分からないまま県立歴史博物館の企画展に展示された肖像写真が、旧官営富岡製糸場の所長を務めた速水堅曹に酷似しているという指摘が23日までにあった。堅曹の子孫の速水美智子さん(52)=茨城県守谷市=が偶然同館を訪れ、鑑賞中に気付いた。顔形が似ているだけでなく、撮影時期や場所も矛盾なく当てはまるため、同館も「堅曹の可能性は高い」とみている。
肖像写真は、裏面に「富岡写真師小川製」と記されており、一八七七―八一年ごろに富岡市で写真館を営業した小川一真が撮影したものとされる。被写体についての説明書きはない。小川の知人の孫で高崎市の金井よし子さん(65)が所有し、埼玉・行田市郷土博物館が保管している。
県立歴史博物館は今月三日まで、企画展「幕末の写真師夫妻 島霞谷と島隆」を開催。これにあわせて同時代の写真家の小川を紹介するため、この肖像写真を「洋装の男性像」というタイトルで展示した。これを見た美智子さんが「これまで見た堅曹の写真とそっくり」と感じ、同館に申し出た。
堅曹は元前橋藩士で、日本初の器械製糸所「藩営前橋製糸所」の設立に貢献した人物。七九―八〇年と八五―九三年に、旧富岡製糸場の所長を務めた。最初に所長に就任した七九年は、小川が写真館を開いていた時期と重なっている。
同館の簗瀬大輔専門員は、特定するには詳しい調査が必要と前置きした上で、「当時は特別な時、特別な人しか写真は撮れなかった。所長就任時の記念撮影だとすると、場所と時期は一致する」と語る。
これまで知られている堅曹の写真は、七六年撮影の米・フィラデルフィア万博での集合写真など四枚だけ。今回の写真が堅曹と特定されれば、四十歳前後の姿を克明に写した貴重な写真となる。
この写真は県立館林美術館で三十日から始まる企画展「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史」で再び公開される。
美智子さんは「写真を堅曹と特定できるよう、詳しく調べてみたい」と話している。
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