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「絹産業」欧州でPR 富岡市長ら5氏仏の学会出席へ 価値説明、重要に 世界遺産登録
掲載日・2007/05/22
本県絹産業遺産群の価値をヨーロッパの専門家に直接訴えるため、県と富岡市は三十一日からフランスで開かれる産業遺産の学会に出席し、旧官営富岡製糸場など遺産群の歴史や価値について発表する。また、昨年十一月に同製糸場を視察したフランス文化省のポール・スミス氏らを訪ね、ヨーロッパに残る同製糸場関連の情報提供を依頼するなど、登録推進に必要な海外での情報収集態勢を整える。
発表する学会は、ヨーロッパの産業遺産研究者で組織するティッキ(産業遺産の保存のための国際委員会)の織物分科会。ティッキは、イコモス(国際記念物遺跡会議)と協力して、産業遺産分野の世界遺産候補地を現地調査し、評価報告書をユネスコ・世界遺産委員会に提出するなど、登録に強い影響力を持つ。分科会はフランス・スダンで三十一日から二日まで開かれる。
出席者は岩井賢太郎・富岡市長、今井幹夫・同市立美術博物館長、松浦利隆・県世界遺産推進室長ら五人。同製糸場についてまとめた松浦室長の論文が、今年一月発行のティッキの定期雑誌に掲載されたことがきっかけとなり、発表の機会を得た。
発表では同製糸場の建物と製糸技術がともに、西洋技術と日本在来の技術を組み合わせた独特の形態であることを示し「世界的な価値」をアピールする。本県絹産業遺産群の全体像も紹介する。
三十日に出発し、帰国は六月八日。
産業遺産分野の世界遺産登録をめぐっては、登録が有力視されていた石見銀山(島根)が今月「遺跡の価値説明が不十分」とされて登録延期の見通しとなった。
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