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栃窪風穴を造った祖父、奥木仙五郎の資料を冊子にまとめた功男さん
蚕種を低温保管、「栃窪風穴」創設 奥木仙五郎の功績記す 孫の功男さんが冊子
掲載日・2007/05/05
中之条町の蚕種貯蔵施設「栃窪風穴」を造った奥木仙五郎(一八六二―一九三二年)にまつわる資料を、孫でJA群馬中央会長の奥木功男さん(76)=東吾妻町新巻=が冊子にまとめた。栃窪風穴は富岡市の旧官営富岡製糸場などと並ぶ世界遺産候補地となりながら歴史資料が少なく、建造の歴史や創設者の仙五郎の足跡をまとめて知ることができる一冊に仕上がっている。
栃窪風穴は、仙五郎らが一九一〇(明治四十三)年、同町北東の東谷山中腹の高冷地に造った石垣と木造の建造物。冷蔵庫のない時代に蚕種を低温で保管し、ふ化を遅らせ、養蚕を年に複数回行うことを可能にした。戦後まで使用され、今年一月、同製糸場などとともに世界遺産の候補地「暫定リスト」に記載されることが決まった。
仙五郎は県蚕業取締所吏員を退職し、地元有志とともに蚕種の製造を開始。同風穴で保管した蚕種を吾妻や利根方面の養蚕農家へ提供した。ほかにもクリや牧草の栽培、競走馬の飼育など先進的な農業に挑戦した。
冊子は、中之条町誌や県蚕糸業史、群馬東村農業協同組合史などの中から、栃窪風穴や仙五郎にかかわる部分を抜き出し、子孫が所蔵する肖像写真や賞状などとともにまとめている。二十部ほど作り、自治体や県立日本絹の里などに配布した。
奥木さんは「先祖の取り組みを誇りに思う。広く知ってほしい」と話している。
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