文字サイズを変更する
小
中
大
 

全国のニュース

「暗夜行路」の自筆草稿発見 志賀直哉、浮かぶ創作過程

更新日時:2025年5月27日(火) PM 06:21

 千葉県我孫子市は27日、市内の個人宅から作家志賀直哉(1883~1971年)の長編小説「暗夜行路」の自筆の草稿が新たに見つかったと発表した。市販のノートに書かれ、後篇の内容と一部が一致した。識者は「創作過程が浮かぶ貴重な資料だ」としている。

 草稿は49ページにわたり鉛筆でつづられ、文章を塗りつぶして書き直すなど何度も推敲した様子が分かる。主人公が友人や妻と花札で遊んだ際、妻がずるをして勝ったのではないかと疑う場面などが描かれている。主人公「時任謙作」の名前は草稿段階では「順吉」とされていた。

 1915年秋に群馬県の赤城山から我孫子市に転居する前に友人へ送った手紙の下書きなども記されていた。

 昨年4月に市内の小熊吉明さんが曽祖父の遺品整理をした際、表紙に「志賀直哉氏ノ小説原稿ノ下書」と書かれたノートを発見。市に情報提供し、志賀直哉の研究を専門にする同志社女子大の生井知子教授が鑑定して直筆と確認した。

 生井教授は取材に「新婚の妻との実体験を基に執筆したのではないか」と指摘した。

 千葉県我孫子市の個人宅から見つかった志賀直哉の長編小説「暗夜行路」の草稿が記されたノート=27日