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《守る生かす 尾瀬国立公園10年(5)》利用 入山者分散を模索
2017/08/30掲載
「ミズバショウのころは木道やトイレに長蛇の列ができる。平日利用の促進や旅行会社のツアー日程が重ならないよう調整するのが混雑緩和に有効だが、制御するのは難しい」。山の鼻ビジターセンターで22日、県議会ぐんまの魅力づくり特別委員会の委員11人が県職員から尾瀬の入山状況について説明を受けた。 一行は観光資源としての活用法を探るため、公園内を視察。関係者が入山者の分散化に苦労している状況を聞き、星野寛委員長は「議会としても問題と向き合い、改善すべき点などを提言にまとめたい」と話した。 貴重な自然だけでなく、静けさも尾瀬の魅力だ。入山口以外の大半のエリアで携帯電話の電波は届いていないが、山小屋などで通話やインターネットを利用できるようにするKDDI(東京)の計画が3月、尾瀬国立公園協議会で合意を得た。一部の山小屋で年度内にもサービスが開始される見通しだ。 利便性の向上が見込まれるが、尾瀬での携帯電話使用には慎重論が根強い。川場村のNPO法人、あるきんぐクラブ・ネイチャーセンター理事で尾瀬ガイドの竹内成光さん(68)は「尾瀬を特別な場所として残すには、むしろ使えないままにした方がいい」と主張する。 2020年東京五輪で外国人観光客が増える可能性がある。受け入れ態勢の整備と併せ、湿原への立ち入りや草花採取の禁止などマナー啓発も不可欠だ。30、31の両日に片品村で開かれる「尾瀬サミット」で、群馬、福島、新潟の3県知事らが適正利用について意見をどう交わすかが注目される。(おわり) ◎あの日の紙面 「尾瀬サミット」が4日、福島県檜枝岐村の尾瀬沼ヒュッテで開かれた。昨年は東日本大震災で中止となり、2年ぶりの開催。大沢正明知事は尾瀬の利用促進と入山口の分散化のため、県が社会実験として車両通行禁止の「大清水―一ノ瀬間」(3.2キロ)で運行する電動バスの実用化に向けて検討していく方針を明らかにした。 (2012年9月5日付上毛新聞) この連載は浜名大輔、小沢宜信、細井啓三が担当しました。 |