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尾瀬沼を再整備 ビジターセンター建て替え、展望広場… 環境省 入山者回復、分散図る
2015/05/14掲載
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再整備予定図 |
本県など4県にまたがる尾瀬国立公園で、環境省は本年度、尾瀬沼周辺の施設群の再整備に着手する。老朽化した尾瀬沼ビジターセンターを建て替え、尾瀬沼を展望できる広場を複数つくる。2021年度までの整備完了を目指す。福島第1原発事故で減少した入山者の回復や、アクセスのいい沼山口(福島県檜枝岐村)や大清水口(片品村)からの入山者の増加により鳩待口(同)への一極集中の解消が期待される。
計画によると、尾瀬沼ビジターセンターは現在地の南側に建て替えられ、雨よけとなる屋根が付いたテラスを設ける。本年度中に実施設計を始め、16年度にも着工。19年度から利用できるようにする。
センターを撤去した跡地に休憩所のある中央広場を、尾瀬沼の東側に二つの展望広場を整備する。中央広場は21年度に完成させる予定。展望広場は沼のほとりを巡る木道とともに16年度中にも整備する。
このほか、センター管理事務所を新築し、近くにある公衆トイレを改修する。また、昨年9月の「尾瀬サミット」で外国人旅行者の誘致に力を入れることが確認されたことを踏まえ、外国語の案内表示を充実させるという。
施設群の再整備について環境省は「老朽化が進んでいるので、自然環境の保全に配慮しながら整備したい」としている。県尾瀬保全推進室は「施設整備により尾瀬全体の魅力が高まれば、入山者の増加につながる。より多くの人に尾瀬を正しく理解してもらえる」と歓迎している。
同省は当初、工期を着工から10年程度と想定していたが、福島県や同県檜枝岐村など地元関係者から「入山者数を原発事故前の水準に戻すためにも、魅力的な施設の整備を早急に進めてほしい」との要望が寄せられ、4年短縮する方向で作業を進めている。
入山者の6割前後が鳩待口に集中する状況の改善にも期待がかかる。
植生の荒廃など環境保全の観点から鳩待口への一極集中は問題視されており、対策として県は大清水口で乗り合いタクシーの運行を始めた。施設群の再整備により尾瀬沼周辺の魅力が高まれば、大清水、沼山両口の利用者が増えて分散化が進む可能性がある。
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