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尾瀬の保有継続 再建計画 希少価値を重視 東電
2013/11/28掲載
東京電力が見直し作業を進める新しい総合特別事業計画(再建計画)で、尾瀬国立公園内の保有地を売却資産に含めない方針であることが27日、分かった。「日本最大の山岳湿地」である尾瀬ケ原を含む一帯の希少価値を重視、維持管理費の削減努力で継続保有は可能と判断した。
東電はコスト削減策として、発電に関係ない不動産や設備の売却を進めており、これまでに目標をほぼ達成したことも、保有継続を後押しした。
昨年5月に 現行計画を策定する際にも売却を検討。県や片品村などは緊急要望書を提出して保有継続を訴えた。最終的に、尾瀬の水は下流にある八つの水力発電所で活用されており、発電事業目的でも 保持する意義は高いとして、売却の対象から外れた経緯がある。
ただ、東電は昨年度から10年間、木道の維持管理費など尾瀬関連予算を福島第1原発事故前から1億円削減して3億円とする方針。一定期間で取り換えていた木道を、傷んでいる部分の交換にとどめるなどして修繕費を抑えている。
また、木道や公衆トイレの整備、植生保護、湿原の回復といった環境保全事業や山小屋運営に携わってきた完全子会社「尾瀬林業」をことし7月に発電所の保守などを行うほかの子会社2社と統合するなど経営の効率化を図った。
東電は尾瀬国立公園3万7200ヘクタールのうち、全体の約4割に当たる群馬側の1万6千ヘクタールを保有。環境省によると、国立公園内の土地は自然公園法で開発行為が規制されているが、売買については制限がない。
県尾瀬保全推進室は「東電は群馬、福島、新潟3県とともに尾瀬の保全活動に努めてきた。今後も引き続き連携していきたい」と話している。
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