無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 東電の合理化計画 「尾瀬」守れるのか 木道や湿原回復 地元から不安の声
2011/05/21掲載

 東京電力が20日、発表した経営合理化方針。尾瀬国立公園の環境保護のために毎年拠出していた資金が削減される見通しのほか、グループ会社の縮小、再編も検討される。資金と人材の両面で尾瀬の後ろ盾が見込めなくなる可能性があり、県内関係者からは「尾瀬の自然は守れるのか」と不安の声が上がっている。
 「今の自然豊かな尾瀬があるのは、東電が担ってきた役割が大きい」。片品村の千明金造村長は尾瀬の自然を守るために東電が設置した木道や公衆トイレ、荒廃した湿原の回復作業などの実績を強調。「世界有数の高層湿原としてラムサール条約に登録されている貴重な自然のために、何とか予算を確保してもらいたい」と切望する。
 片品山岳ガイド協会事務局長の塩田政一さん(68)は、木道の整備が十分に行われなくなることを不安視する。「東電が計画的に整備してくれているからこそ入山者の安全が守られていた。歩きにくくなれば、けがも増えるし、楽しさも半減してしまう」
 東電は、原発事故収束などに必要な人員を確保するため、グループ会社の縮小や再編の検討も発表した。完全子会社、尾瀬林業(東京都荒川区)の尾瀬戸倉支社は、尾瀬の自然保護業務や山小屋の運営のほか、尾瀬自然学校の開催など啓発や教育面でも重要な役割を果たしている。
 尾瀬戸倉観光協会長の萩原一志さん(54)は「戸倉地区と尾瀬林業は一体となって歩んできた」と話す。尾瀬自然学校が集客にも寄与するなど、同社の地元への経済効果も強調。「国民の財産である尾瀬を守るのに直接的かかわってきた尾瀬林業。何とか現状を維持してほしい」と要望する。
 同社尾瀬戸倉支社の松村吉弘支社長は「東電のことはコメントできる立場にはないが、具体的な話は入っていない」と話している。