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尾瀬の未来 聞きたい サミット中止検討 理解の一方で望む声
2011/05/19掲載
尾瀬関係者が一堂に会し、保護と利用について話し合う場となっている尾瀬サミット。中止が検討されていることに、県内関係者は「尾瀬を共有する福島県が受けた大震災の被害を考えると、中止はやむを得ない」と理解を示す一方、「先の見えない今だからこそ、尾瀬の将来について話し合うことが大切だ」との声も上がっている。
「尾瀬について議論する場が1年でもないことは非常に残念。でも、福島の実情を見ればやってもらいたいとはとても言えない」。尾瀬山小屋組合長の関根進さん(65)は、福島県知事をはじめ、サミットに福島から参加していた多くの関係者の心情に配慮する。
関根さんによると、今シーズンの山小屋の宿泊者数は例年の3〜5割まで落ち込んでいるといい、「多くの人に英気を養ってもらうためにも、中止の決定が風評被害につながることだけは避けてほしい」と注文をつける。 尾瀬保護財団の評議員を務める片品山岳ガイド協会事務局長の塩田政一さん(68)は「(国立公園の約4割の土地を所有する)東京電力に、今後の尾瀬での対応について聞きたいことがあった人も多いはず」と推測する。 塩田さんは、東電が木道整備や植生回復など自然保護活動のため毎年、尾瀬に拠出していた資金が福島第1原発事故の賠償で期待できなくなることを懸念している。その上で「こんな状況だからこそ、従来のメンバーにとらわれなくても関係者が集まって尾瀬の未来を話し合わないといけない」と主張している。
片品村の千明金造村長は「サミットが中止になっても、高齢者や障害者の利用促進の議論を停滞させないでほしい」と話している。
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