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 尾瀬にイワナ産卵場 川上川3カ所に設置 利根漁協 ヤマメ放流は中止
2008/10/10掲載
川上川で行われた産卵場の設置作業
川上川で行われた産卵場の設置作業

 尾瀬で魚の放流をやめ、替わりに産卵場の設置を検討していた利根漁業協同組合(吉沢郁夫組合長)は9日、県と協力して、尾瀬ケ原に注ぐ川上川流域の3カ所(片品村戸倉)に、イワナの産卵場を設置した。渓流魚の人工産卵場は県内で初めて。うまくいけば、10月中旬ごろから卵が植え付けられ、雪で覆われる12月下旬ごろまでにふ化する見込み。同漁協と県は、継続して産卵場の管理、検証を続け、有効性が確認されれば、ほかの渓流魚の増殖にも役立てていくことにしている。

 設置した産卵場は、水深約二十センチ前後で、広さは畳一枚程度。産卵に適した水流となるよう、川底の石で周囲を囲み、砂利を均一に敷き詰め直した。同漁協と県職員ら計十二人が作業に取り組んだ。
 尾瀬ケ原などに漁業権を持つ同漁協は昨年まで、尾瀬ケ原を流れるヨッピ川などに毎年約一万匹のヤマメを放流してきたが、外部から魚を持ち込むことに対して、自然保護団体が「生態系に影響を与える」などと放流中止を求めていた。県内水面漁場管理委員会の意見も踏まえ、同漁協は今年から放流を中止、産卵場による増殖法への切り替えを決めた。設置には県がノウハウを助言した。
 産卵場は、積雪や流水などで壊れてしまうため、一年ごとに造り直す計画。県は、産卵の有無や程度などのデータを収集しノウハウを蓄積する。
 将来的には、ここでの経験を尾瀬以外の地域での在来種増殖に役立てていくことにしている。
 設置に参加した利根漁協の星野芳造専務理事(79)は「予想以上にいい産卵場を造れたと思う。今後の経過を見ながら、より良い方法を考えていきたい」と話している。