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入園料を環境保護へ 海外の研究者シカの食害対策も 新潟・魚沼 シンポ「尾瀬国立公園」に200人
2008/07/21掲載
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海外の研究者らを招いて開かれた パネルディスカッション |
国際的な視点で尾瀬国立公園を考えようと、海外の研究者ら四人を招いた国際シンポジウム「みんなで支える新たな国立公園『尾瀬国立公園』のめざすもの」が二十日、新潟県魚沼市の小出郷文化会館で開かれた。海外の研究者らからは入園料を徴収して環境保護やエコツーリズム推進に当てている事例などが紹介された。会場には本県などから尾瀬関係者約二百人が詰め掛け、熱心に耳を傾けた。
パネルディスカッションは、海外パネリストに米国、インドネシア、ニュージーランド、スコットランドから国立公園関係者や研究者を招き、尾瀬保護財団、環境省、東京電力の各代表者を合わせ七人が出席。コーディネーターは尾瀬保護財団評議員で横浜国立大大学院の加藤峰夫教授が務めた。
海外の四人は、二日間にわたって実施した尾瀬散策の感想を踏まえて意見を発表した。インドネシアのグヌンハリムンサラク国立公園所長、バンバン・スプリヤントさんは「保護に焦点を当てながらも、経済的な恩恵も得られる」と述べ、尾瀬でのエコツーリズムの導入を提唱した。ニュージーランドのワイカト大教授、メイレイ・クリスティン・リムさんは「観光より自然の保全に重きを置いている。自国でも同じことができたらいい」と語った。
シカによる食害被害も取り上げられ、スコットランドで野生シカ対策に取り組んでいるケアンゴーム国立公園管理局のハミッシュ・トレンチさんは「シカの頭数管理が問題。調整の必要性を地域に説明すべきでは」と訴えた。
米国国立公園局国際協力専門官のルーディー・ダレッサンドロさんは「もっと歴史を語ってほしい。植物の説明より来園者が興味を持つ」と強調した。
このほか、英語の尾瀬解説をインターネットで世界に発信することや海外の国立公園との姉妹関係締結など、さまざまなアイデアが出された。
シンポジウムは群馬、福島、新潟県、片品村、東京電力、山小屋組合などが組織する実行委員会(委員長・大沢正明知事)が尾瀬国立公園の誕生を記念して実施した。
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