無限の表情 尽きせぬ魅力 尾瀬国立公園
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 尾瀬国立公園を答申 来月にも日光から独立 中央環境審部会
2007/7/26掲載

 環境省の中央環境審議会自然環境部会(部会長・熊谷洋一東京農業大教授)は二十五日、日光国立公園の尾瀬地域を分離・独立し、新たに「尾瀬国立公園」として指定するよう答申した。同省は八月三十日ごろ、答申通りに官報告示する見通しで、事実上、同公園の誕生が決まった。国立公園の指定は、一九八七年の釧路湿原国立公園以来二十年ぶり、二十九番目で、分離・独立による新公園は初めてとなる。

 新公園は日光国立公園十四万ヘクタールのうち尾瀬ケ原、尾瀬沼などの二万五千ヘクタールに、尾瀬と生態系などが似ている福島県の会津駒ケ岳、田代山・帝釈山両地域などが編入され、総面積は三万七千二百ヘクタールとなる。

 尾瀬は一昨年、水鳥の保護を目的としたラムサール条約湿地に登録。単独化により環境保護の対策が一層進むとみられる。荒廃が深刻で公園内でも重要度が高い至仏山の保全対策会議は八月中旬にも発足する。

 観光面で単独化の効果が期待される一方、入山者の増加による環境負荷も懸念される。このため、燧(ひうち)ケ岳の湿原などを特別地域から特別保護地区に格上げ、特別地域の周辺にあった普通地域は第三種特別地域とするなど保護目的の規制を強める。

 審議会は、単独公園化に伴う休憩所や給水施設などの公園事業を認める答申も出したほか、尾瀬の本県側に事務所を置く案や尾瀬の河川でのヤマメの放流の中止を求める意見などが各委員から出された。

 熊谷部会長は「尾瀬は日本の国立公園の聖地。新たに国立公園に指定されることで、日本の国立公園すべての出発点となってほしい」と話した。

 尾瀬国立公園の誕生が事実上決まったことで、地元や関係団体から歓迎や期待の声が上がっている。片品村の千明金造村長は「尾瀬の希少価値があらためて認められた。地元にとって尾瀬は生活と一体であり、感激している。片品村のシンボルとして、尾瀬の自然を守りながら、村の発展につなげたい」と語った。

◎「保護と利用に努力」 歓迎や期待の声
 尾瀬の面積の七割を所有する東京電力(東京都千代田区)の用地部からも「多くの関係者が、尾瀬の自然を守ってきたという実績が認められた」と喜びの声。尾瀬保護財団常務理事の市村良平県環境・森林担当理事は「財団としても単独化を契機に尾瀬の保護と利用が一層適正に進むよう努めていく」と話した。
  同財団は尾瀬国立公園の誕生を祝う記念事業を来年三月に計画しているほか、公園の統一ロゴマークを八月三日まで公募。PR用のDVDと冊子も作製する。同月三十、三十一の両日、片品村で開く尾瀬サミット2007で環境保護の重要性を唱える宣言を行う。