宮崎県沖の日向灘で2024年8月に発生し「南海トラフ地震臨時情報」につながったマグニチュード(M)7・1の地震の前、プレート(岩盤)境界が時間をかけて動く「ゆっくり滑り」が通常の半分の発生間隔で起きていたと、国土地理院の研究チームが19日までに発表した。
大きな地震の前に発生間隔が短くなることは、シミュレーションで示されていた。実際に観測されたのは初めてで、大地震の予測に重要な成果としている。
ゆっくり滑りは通常の地震と同様に断層がずれ動いて起きるが、人が感じる揺れや津波は起こさない。11年の東日本大震災の前震後に起こり、本震との関連が指摘されている。
日向灘ではM7級のプレート間地震が20~30年周期で繰り返し発生。地理院の1996年以降の観測データから、深さ約40キロ付近のプレート境界で、ゆっくり滑りが2年に1回程度起きていることも分かっている。
小沢慎三郎主任指導官(地球物理学)は「モニタリングを続けて観測事例を積み重ね、ゆっくり滑りと地震の関係について理解を深めたい」と話している。
通常の地震とゆっくり滑り
日向灘の地震の震源と南海トラフ