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藤岡市鬼石商工会事務局長  秋山 博(藤岡市岡之郷)



【略歴】日大法学部卒。1978年に中里村商工会に就職した後、県商工会連合会と赤城村商工会での勤務を経て2001年4月から現職。行政書士などの資格も持つ。


鬼石地区の再生



◎“創る観光”への移行を



 先月、飛騨高山に行って来ました。途中安房峠辺りの紅葉は見事でした。私の勤め先がある藤岡市鬼石には、日本中の山々が紅葉シーズンを迎える秋から冬にかけて咲く桜があります。この桜を「冬桜」と呼んでいます。咲き様は、春のソメイヨシノほどの派手さはありませんが、これから吹く北風にさらされながらも寒さに耐え、小枝から振り落とされまいと頑張る冬桜は可憐(かれん)です。

 戦後、鬼石は三波石の石の町として大いに栄えました。しかし、ここ20年ほどは、長引くデフレ不況と急激な社会構造の変ぼうで、石の需要は激減。町全体が活気を失っています。さらに近郊に大型店や量販店が進出したことで、町から購買力が流出、売り上げを減らしています。その上、少子化や経済構造のゆがみからくる人口減少も中心市街地を寂しくしています。これらが重なり合い、中心市街地の商店街は人通り少なく、静まりかえったままです。

 勤め先の商工会では、この打開策として昨年、交流人口を増やそうと内部に4番目の部会として観光部を立ち上げました。定住人口が年々減少し過疎化する中、外部から人を呼び増やそうとする発想です。

 シーズンを迎えている冬桜は藤岡市三波川の桜山にあり、モミジやカエデ、その他落葉樹の紅葉と一緒に見物でき、楽しめることで、一時は20万人を超える観光客が訪れました。しかし、今はその面影なく半分程度まで減少してしまいました。この傾向に藤岡市や市観光協会は決して手をこまねいていたわけではなく、桜山山頂まで大型バスが入れる道路の拡幅化やバス会社への売り込み、桜山山開きや桜山まつり、最近では桜山まつり俳句大会などイベントにいろいろ苦心、苦労しながら交流人口増加に一生懸命、努力しています。

 商工会でも、日ごろから市や観光協会と協力協調しながら、交流人口を増やそうと努力しているところです。商工会としてできる「事業起こし」「地域おこし」は何か、会長や観光部の部長をはじめ多くの役員・会員の熱意と活動で、今シーズン、11月1日から群馬県と藤岡市の支援のもと、桜山にライトアップの新しい観光スポットが誕生しました。これにより、見物時間の延長と話題性で、観光客が減り続けている現象にストップがかけられるのではないか期待していますし、交流人口が増えれば、地域の商店や旅館、その他の観光業者等直接間接を問わず事業者全体に何かしらの好影響が現れ、地域も中心市街地も徐々に恩恵が出てくるかも知れません。そういう意味で、これからは、「創る観光」に期待したいと思います。








(上毛新聞 2010年12月12日掲載)